今回は「すぐ眠れる朗読シリーズ」の第四弾として、グリム童話の名作「赤ずきん」の読み聞かせを作りました。
シンプルな物語の中に学びもあって、大人が聞いてもリラックスできると思います。
ゆったりとした語り口調とオルゴールの音楽が寝かしつけ効果に最適です。ぜひ聞いてください。
子育てママにとって赤ちゃんのお世話と家事の両立は本当に大変ですよね?
私も経験してみてわかったのですが、実際に子育てママは大変すぎます!
今回はなかなか寝ない赤ちゃんのために寝かしつけ専用の音声動画をつくりました。「眠くなる朗読シリーズ」を是非お子さんに聴かせてください!
(※この「眠くなる朗読シリーズ」は大人の方にも睡眠誘導BGMとして活用していただけます。ばぶっくのすべての読み聞かせは無料です。)
赤ずきん:眠くなる動画・音声
若宮いろはの眠くなる朗読シリーズをYouTubeにアップしました。愛情たっぷりの朗読音声を、是非あなたも聞いてくださいw
赤ずきん:物語・文章 <ストーリー>
第一幕
むかしむかし、あるところに、小さなかわいい女の子がいました。この子のお婆さんは誰よりも女の子を可愛がっていました。
あるとき、お婆さんはこの子に赤いずきんを作ってやりました。すると、それがまたこの子によく似あうので、女の子はそればかりかぶっていました。
どこへ行くにも赤いずきんを被っていたので、女の子は赤ずきんちゃんと呼ばれるようになりました。
第二幕
ある日、おかあさんは、赤ずきんちゃんに言いました。
「さあ、いらっしゃい赤ずきんちゃん、ここにあるお菓子とブドウ酒をお婆さんのところへ持って行ってちょうだい。
お婆さんは、病気で弱っているから、これをあげればきっと元気になるでしょう。
それから、お婆さんの家に行くときは、知らない横道へ行ったりしないようにね。もし転びでもしたら、瓶が割れて、お婆さんにあげられなくなるからね。
お婆さんの家に行ったら、まず、おはようございます、と挨拶するんだよ。部屋の中をきょろきょろみまわしたりなんかしないでね。」
赤ずきんちゃんは、「わかったわ」と言って、おかあさんと指切りをしました。
第三幕
お婆さんの家は、村から離れた森の中にありました。赤ずきんちゃんが森に入ろうとすると、狼がひょっこり現われました。
「赤ずきんちゃん、こんにちは。一人でどこへ行くんだい?」
と、狼はいいました。
「お婆ちゃんのところへ行くのよ。」
「手に持ってるものは、なあに?」
「お菓子とブドウ酒よ。お婆さんは病気で弱っているでしょう?それでお見舞いに持っていってあげるの。きのう、お菓子をおうちで焼いたの。これでお婆さん、きっと元気になるわ。」
「お婆さんのおうちはどこなの?」
「この森のずっと奥で、大きな樫の木が、三本立っている下のおうちよ。おうちのまわりに、くるみの生垣があるから、すぐわかるわ。」
赤ずきんちゃんは、こう教えました。
狼は、心の中で考えていました。
「若くて、やわらかそうな小むすめだなあ。こいつは美味しそうだ。婆さんよりずっと味が良いだろう。ようし、二人とも食べてやる。」
そこで狼は、しばらく赤ずきんちゃんとならんで歩きながら、こう話しました。
「赤ずきんちゃん、そこらじゅうキレイに咲いている花を見てごらん。ほら、小鳥もあんなにいい声で歌をうたっているよ。
…赤ずきんちゃん、小鳥の声も聞いてなかったのかい?森の中はこんなに明るくて楽しいのに。」
そう言われて、赤ずきんちゃんは辺りを見回しました。
すると、あちこちに咲いているキレイな花が目にはいりました。そこで、
「あたし、お婆さんに、きれいなお花を花たばにして、持っていってあげることにするわ。きっと喜ぶわ。」
と言って、横道からその中へ入っていって、いろいろな花をさがしました。
そうして、もっともっとキレイな花があるんじゃないかという気がして、どんどん森の奥へと入って行きました。
第四幕
ところが、この間に狼は、まっすぐお婆さんの家へ向かいました。そして、ドアをとんとん、たたきました。
「おや、どなた。」
狼は赤ずきんちゃんの声をまねして
「赤ずきんよ。お菓子とブドウ酒を、お見舞いにもって来たの。ドアをあけてちょうだい。」
「とっ手を押しておくれ。お婆さんは病気で起きられないから。」
狼がとっ手を押すと、ドアはボンとあきました。
狼は家の中に入ると、何も言わずに、いきなりお婆さんの寝ているベットにへ行って、ひと口に、お婆さんを飲み込みました。
それからお婆さんの服を着て、頭巾をかぶり、ベッドで寝て、カーテンを引いておきました。
第五幕
赤ずきんちゃんは、花を集めるのに夢中で、森じゅうかけまわっていました。
もう集めるだけ集めて、これ以上持ちきれないほどになったとき、お婆さんのことを思い出して、いつもの道にもどりました。
お婆さんの家に着くと、ドアが空いたままになっているので、変だと思いながら、中へ入りました。すると、何かが、いつもとかわってみえたので、
「変だわ、どうしたのでしょう。今日はなんだか胸がそわそわして、きみが悪いわ。お婆さんのところへくると、いつだって楽しいのに。」
と思いながら、大きな声で、
「おはようございます。」
と、呼んでみました。でも、返事はありませんでした。
そこで、ベッドのところへ行って、カーテンをあけました。
するとそこにはお婆さんが横になっていましたが、頭巾をすっぽり深くかぶっていて、なんだかいつもと様子が変わっていました。
「あら、お婆さん、なんて大きなお耳。」
「おまえの声が、よくきこえるようにさ。」
「あら、お婆さん、なんて大きな目なの。」
「おまえのいるのが、よく見えるようにさ。」
「あら、お婆さん、なんて大きな手なの。」
「おまえが、よくつかめるようにさ。」
「でも、お婆さん、まあ、なんてきみの悪い大きなお口だこと。」
「おまえを食べやすいようにさ。」
こういうのが早いか、狼は、いきなりベッドから飛び出して、かわいそうに、赤ずきんちゃんを、ひと口で食べてしまいました。
狼はまたベッドにもぐって休みました。やがて、ものすごい音を立てて、いびきをかきだしました。
第六幕
ちょうどそのとき、猟師が表を通りかかって、はてなと思って立ちどまりました。
「婆さんが、すごいいびきをかいて寝ているが、なんだか変だな。なにかかわったことがあるんじゃないか、様子を見てみよう。」
と、家の中へ入ってベッドのところへ行ってみると、なんと狼が横になっていました。
「この罰当たりが!とうとう見つけたぞ。長い間、お前を探していたんだ。」
そこで猟師は、すぐに狼に鉄砲をむけました。
しかし、ふと、狼のやつ、お婆さんをそのまま飲んでいるのかもしれないし、まだ中で生きているのかもしれないぞ、と思いました。
そこで鉄砲をうつことはやめて、ハサミを取り出して、ねむっている狼のおなかを、じょきじょき切りはじめました。
するとお腹の中から赤いずきんがちらっと見えました。またハサミいれると、女の子が飛び出してきて、
「まあ、私、助かったのね。狼のおなかの中は暗くて怖かったわ!」
と、いいました。
さらにお婆さんもまだ生きていて、中から出てきましたが、すっかり弱っていました。
赤ずきんちゃんは、何も知らずに寝ている狼を見ると、いそいで大きな石を持ってきて、狼のおなかの中につめ込んで縫いました。
やがて目が覚めた狼は、猟師の姿を見てたいへん驚き、いちもくさんに逃げ出しました。
第七幕
ところがお腹に石が入っていた狼は、思うように走れず、休憩がてら川の水を飲もうとした瞬間、ドボン!と川に落ちて死んでしまいました。
三人は危険な狼がいなくなって喜びました。
お婆さんは、赤ずきんちゃんの持ってきたお菓子を食べて、ブドウ酒を飲みました。それで、すっかり元気になりました。
赤ずきんちゃんは、
「私は、もう二度と森の中で寄り道するのはやめるわ。お母さんがいけないって言っていたんだから。」
と心の中で思ったのでした。
おしまい。